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縁プロジェクト_vol.12

ワインがそこにあって、
楽しい時間を共有できる人がいれば、
いつだって幸せに過ごせる。
岩瀬 大二
ワインナビゲーター
シャンパーニュWEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長
岩瀬 大二氏
PROFILE

MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、お酒の魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。フランス・シャンパーニュ騎士団 シュヴァリエ叙任。

執筆、イベントなどを通してワインと幸せなライフスタイルを結ぶ
「ワインナビゲーター」として活動をしている岩瀬大二さんは、
「ライフスタイルとお酒、我が家で楽しむ酒。その素敵な関係は家づくりのヒントにもなる」という。
その理由を訊いてみた。

ワインはもっと気軽なもの。

ワインは難しい、高尚というイメージもありますが。

ワインはスペックで語ろうと思えばいくらでも語れる奥深さはありますが、一方で、世界中で気軽に飲まれ愛され続けてきたものでもあります。実は昔、ワイン嫌いになったことがありました。ライターとして駆け出しの頃。23、4の時に飲んでみなさいといわれた70年代のシャトー・マルゴー。初めての高級ワインで味なんてわかりませんし、これがどんなに素晴らしい物語をもっているかなど知らないでいただいたので、ぜんぜんありがたみがわからないし、むしろ「不味い」と(笑)。

ワインは食の経験ですとか年齢によって好みも変わりますし、そもそも強くて濃くてという赤ワインは若いうちはなかなか理解できないもの。でも周りにいた方々は、そんなこともわからないのか、もっと勉強してこいみたいな雰囲気で。この時点でワインが嫌いなのではなく、ワイン好きの人が嫌いになって、ワインから離れてしまった時期があるんです。

家で飲まれるワイン好きの方で、「どうも家族が冷たい」と感じられたら原因は泥酔や悪酔いだけではなく、家族が入って来れないような蘊蓄をいっているのかもしれません。

スペックではなくシーンとともに楽しみたい。

家族や周りの人と一緒に楽しむためのヒントはありますか?

シーンと一緒に。シャンパーニュやワインの取材で生産者とお話しする際に「個人的にどんな場面で飲みたいですか?」という質問をするのが好きです。彼らの語る情景を思い浮かべながらそのシャンパーニュやワインを飲むと本当に素敵なんですよ。

ある生産者はこんなことを言いました。「僕のシャンパーニュは、休日の夕方のテラス。熱い空気にすこしずつ涼風がまじって、夕日が少しずつ落ちていく。旧友とそこでこれを飲みながら昔を懐かしんでの会話。キッチンでは、もう一人の友人が自慢の煮込みを作っていて、その出来あがりの香りとともにみんなの家族が集まって、早めのディナーの開始。そこにもこのシャンパーニュがある」。なんと豊かな時間なんだろうと想像してちょっと泣きそうになりました(笑)。

ワインナビゲーターというのは僕が勝手につけた名前ですが、目的は、自分にあった素敵なワインに出会っていただくお手伝い。ソムリエさんや専門店に行った際に好みのワインを伝えられたり、普段の食卓にあうワインをみつける、ワインを楽しむ場面を演出するなどのお手伝いをする役割が必要だと感じたことがスタートです。

飲む側の立場に立ってワインを考え、プロとのコミュニケーションを円滑にしていただければ、どちらにとっても幸せな関係が生まれます。産地やぶどう品種、醸造方法を探っていくのもよいのですが、もっと単純に場面から想像して、それをプロがご紹介するという関係をより強く結んでいきたい。

小さなプラスアルファでもっとたのしく。

ワインをより豊かに楽しむために必要なアイテムなどがあれば。

家で楽しむ際にはグラスもこだわってみるとよいですね。グラスによってワインの風味は大きく変わりますから。いろいろな形状があるのはそのためです。こういうと難しく感じられるかもしれませんね。確かに、ピンポイントで合わせようと思うとある程度の知識は必要です。でも、大ざっぱにそういえばあのワインはあのグラスで飲んだときの方が美味しく感じた程度からはじめていただければと思います。

それから高級じゃなきゃいけない、というわけでもないんです。気軽に飲みたいときもありますしね。ステム(足の部分)が長いグラス、うすはりのグラスだとエレガントである一方で、緊張感もあります。飲んでいるときに倒さないかという心配、洗ったときに割ってしまうんじゃないかという心配。デイリーワインであれば安いグラスで充分、というよりその方が美味しく気軽に飲めるんです。あるといいのは、食洗機で洗えるけれど形状が気に入っているグラス。グラスはある意味で芸術品であり、ある意味では実用品でもあります。

そこにある、そこにいる。だからこそ感じられる幸せ。

ワインを難しく学ぶ必要はないということですね。

あるとすれば逆説的になりますが、大切な人とシェアできるように学ぶことでしょうか。お酒が飲めないお子様も、そこにワインがあってご両親がそれを囲んでいると、家全体が幸せで楽しい空間になっている。そこにこだわるべきで、そのためのヒントとして、産地やぶどうやその他のスペックがある。

ワインは楽しい空間を創る力があると思います。家がワインと手を取り合って家族を幸せにする。素敵だと思います。だからご自身が好きなワインの楽しみ方にあわせて家を造る。とても粋だし、とても愛情のある場所になるような気がします。家族みんなで料理をしながらワインを飲むことができる話が弾むキッチン。夕焼けをゆったりと見ることができるテラスと大きな窓のリビング、セラーを安心しておける土間に、そこでワイン好きの友人と語りあえる、まるでワイナリーのセラーで試飲しているかのようなスペース…。一人の趣味ではなく家族や、招いた友人とワインを楽しめる家というのは、その人の家族との愛情や家での過ごし方、そのものが現れるんじゃないかと思います。

藏持さんの家づくりにおいても、家族でどうそこに住まうのかというライフスタイルがありますよね。スペックや道具が先にあるのではなく、幸せな家族の笑顔、没頭できる趣味など、まず、ご家族とご自身の幸せがあって、そこに相応しいつくりや道具や素材がある。ワインやシャンパーニュも同じだと思います。ワインのあるくらしが藏持さんの縁プロジェクトとともに、こうした幸せを広げられればと思いますね。

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