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縁プロジェクト_vol.09

自分もまわりも笑顔になれる。
そんなお茶と空間を
作り続けていきたい。
松村 宗亮宏
茶人・裏千家茶道准教授
SHUHALLY代表
松村 宗亮氏
PROFILE

1975年、横浜市生まれ。英国国立Wales大学大学院経営学科卒業。MBA取得。学生時代、ヨーロッパを放浪中に日本人でありながら日本文化を知らないことに気づき、帰国後茶道を始める。裏千家学園茶道専門学校を卒業後、2009年、横浜の関内にて茶道教室『SHUHALLY』を開始。

「茶の湯をもっと自由に! もっと楽しく!」というコンセプトで、三越伊勢丹や西武などの全国の百貨店やギャラリー、また海外(ベルギー、スペイン、アメリカ、フランス、香港、韓国等)で多数の茶会を開催している松村さん。
伝統を重んじながらも、今までになかった様々な分野とのコラボレーションを広げ、新しい“茶道”を提案し続けている。

いちばん惹かれた日本文化が茶道。

なぜ、茶の道に進もうと思ったのでしょうか?

大学3年の時に、休学をして1年間ヨーロッパへ放浪の旅に行ったんです。ヨーロッパにいると、“禅”など日本文化のことをいろいろ聞かれたのですが、日本人である僕が何も答えられなくて…。語学を習得しても、自分の国の文化や暮らしをよく知らないということを痛感しました。それで、帰国後、日本文化らしいものといえば、華道、書道、茶道だろうと思い、それぞれ始めてみたんです。やり始めると、どれも楽しかったのですが、いちばん興味を惹かれたのが茶道でした。

若い世代にもお茶のおもしろさを知ってほしい。

茶道は趣味にとどまらず、ご自身でお茶の教室を開くまでになったのですね。

お茶の教室というのは、代々受け継がれている家元の人や経済的に余裕のある人が商売関係なく教えていることが多いです。そのため、習い事の中では、敷居が高いイメージを持たれているんです。なので、私が茶道を始めようと思った頃は、ネットで探すことが大変だったり、教室のホームページがあっても料金や内容が明確に表示されていないところも多くありました。そんな閉鎖的な環境が、若い人たちがなかなか始められないのかなと思い、それを変えていくために自分で教室を開こうと考えました。

また、自分がお茶に対して、「おもしろい」と感じたのだから、同年代の人たちも同じように感じてくれるはずだという変な確信もあったんですよね。だから、若い世代にファッションや美容、ネイルなどの代わりにお茶にお金を出してもらうためには、自分も不便を感じた料金や内容などを、まずはしっかりとわかりやすい形にする必要があると考えたんです。現代の需要に合わせた教室を開くことができれば、ビジネスになるのではないかとも。

マンションの一室に教室を開いたのも、すきま時間や仕事などの帰りに、気軽に立ち寄ってほしいから。身近な場所に非日常の世界を作れば、若い世代も含め、人が来やすいかと思ったんです。マンションだけれど、庭があって、茶室があるという意外性や世界観も、私の教室の生徒には喜んでいただけてると思っています。

お茶は好きな器で飲むのがいちばん。

毎日の生活の中にもホッとひと息ついてお茶を飲める時間が必要かと思います。教室に通わなくても、家で市販のティーバッグや茶葉でお茶をおいしくいただける方法を教えてほしいです。

お茶は、ティーバッグでも茶葉からでも、どちらでも構いません。お気に入りの器に入れることで、お茶は格段においしくいただけます。器は、お茶が入るものということはもちろん、直接手に触れるもの。なので、まずは自分の好きな器でいただく。それだけで気分が上がるはずです。あとは、お気に入りのテーブルやイスなどのインテリアに囲まれて、お花を飾って、好きな音楽をかけて、いい香りを焚いて、好きなお菓子などを添えて。さらに過ごしやすい空間を作っていけば、もっとお茶の時間を楽しめますよ。これは、お茶に限ったことではないです。コーヒーやお酒を飲むときにも好きな器に入れたり、料理もお気に入りのお皿に盛りつければ、よりおいしくいただけるはずです。

お茶が暮らしを豊かに変えた。

「お茶と出合い、暮らしが豊かになった」という松村さん。もうお茶がない生活は考えられなさそうですね。

お茶をやっていないときは、ヒマを持て余していました。「週末なにしようかな~」と考えることが多かったと思います。お茶を習い始めてからは、いろんな人々に会うので、日々発見があって日常生活も楽しくなりました。海外に行くことも増えましたし、着物を着ているだけで記念撮影をお願いされるなど、自分に興味を持ってくれる人もいたので、楽しい思い出が増えました。ただ、仕事と趣味の境界線がなくなっている部分もあって…。趣味が仕事なことは幸せなことなんですけど、逆に何でもお茶につなげて考えてしまうんです。「純粋にお茶を楽しむことができたら」と、複雑な気持ちになることもあります。

でも、今は働き盛りの時期でもあるので、仕事の幅をさらに広げつつ、オフの時間も上手く楽しみたいです。プライベートでも家に友人や知人を招待して、料理やお茶をふるまいたいですね。お茶を始める前は、ホームパーティなどをよくしていたので。昔から、自分が楽しみつつ、まわりの人も楽しめる空間を作ることが好きなのかもしれません。

今思うと、そういう楽しい空間づくりは、中学・高校で自分の部屋ができたときから始まっていたかもしれない。ブラックライトを買ってきて、壁や天井に貼り付けたシールを光らせたことも。自分の部屋でビデオ観賞ができるように、テレビを置いて、おこづかいで買ったステレオをがんばって組んだりもしていました。どうすれば、友達や彼女が居心地よく過ごせる部屋にするか。それを考えることが楽しかったんですよね。

“相手にどう喜んでもらえるか”という部分では、お茶もそれに通ずると思います。僕は、いつでも“笑える茶会”を開きたいという思いが強いんです。だから、今までの“高尚”な茶の面も残しつつ、牧場で抹茶ラテを作ってみるなどと、今までになかったお茶の楽しみ方を提案し続けていきたいです。

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