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縁プロジェクト_vol.08

本物を追求し、
材も心も無垢でつくる。
大原 康宏
頑固おやじ
代表取締役
大原 康宏氏
PROFILE

大学卒業後、家業である家具の卸売を営む大原商店(現・株式会社駿河屋)に入社。
小売業へ転向し同社代表取締役に。無垢の木でつくる本物の家具を企画・販売し、さまざまなオーダー家具も手がける。

無垢の木でつくる家具を企画・販売する頑固おやじ(茨城県水戸市)。
“本物” と呼べる家具づくりにたどり着くまでには、実にさまざまな過程があったという。
代表・大原さんに家具づくりへの想いを聞いた。

それは、自分が買いたいと思う家具か。

こちらにある家具はみんな無垢でできているんですね。ずっとこのスタイルを?

いえ、ウチはもともと卸売をしてまして。昔はなんでも大量生産・大量消費の時代。家具もそうでした。家具屋さんから、○○円で売れるタンスを作ってと言われれば、その範囲内でできることを工場でしてもらって、それを納めていました。質より量。いかにしてまかなえるかを考えていたんですね。そんな頃、地元の知り合いが婚礼箪笥を探しているというので商品を見せたところ、言われてしまったんです。「大原さん、これ自分で使いたいと思うの?」と。

そんなに質がよくなかったんですか?

例えば運送の際、持ち上げようとしてタンスの側面をちょっと押しただけで破れてしまうくらい。壊れたというより破れた。薄い板材で、中の芯が段ボールみたいな。そこに厚紙を張っているような代物でしたね。そうしたものが実際売れて、消費されていったわけです。卸売をしていましたから、私のお客さまは販売店のバイヤーさんになりますが、私は実際に使うお客さまのことをそこまで見ていなかったんですね。これはいけないと。やはり重厚感とぬくもりのある、本物の木のよさが感じられるものにしようと。腕のいい職人さんたちとのつながりを活かして小売業に転向し、無垢で“一個づくり” の家具にこだわっていきました。でも一時、フランチャイズ展開もしましたが、やはりクオリティが下がってしまって。もう、世の中に出す基準は、自分で買いたいと思うかどうか。そこからブレないようにしようと。いいと思うものでなければ、この店には置きません。

100年かけて育った木は、100年愛される家具にする。

確かに無垢のよさは、説明なしにそのよさを感じられるものですよね。

家具を、しかも無垢でつくるとなると樹齢100年くらいのものを使います。私たちは自然から木を頂戴しているわけですから、100年かけて育った木は大切に使わなければいけない。先ほどお話ししたような消費されて捨てられる家具でなく、その家で親から子へ、子から孫へ、100年受け継がれていくような家具をつくらなければいけないと考えています。

屋号である頑固おやじの“頑固” とは、そうした確固たる信念を表しているのだと感じます。フラッシュやMDF の板材でつくる家具ではなく、無垢のようにしっかりしているような。

そうかもしれません(笑)。ただ、ネーミングは本当に思いつきで。頑固というのは、別に誰かを指しているわけではないんです。
周りにいる熟練の職人たちや私の親父、いや私自身なのか…。ただ、腕のいい職人たちは木のことをちゃんと想ってるんですね。まず木への礼がある。木と向き合い、その声を聞きながら、丹精込めて愛情を注ぎながらつくっている。気難しい面もあるかもしれませんが、職人たちの多くが木を想い、使う人を想っているんですね。中には出荷する時に「この家具はお嫁に出す娘みたいなものです。どうぞたいせつに」と手紙を添える職人もいます。私はそうした職人たちと想いを同じにして、お客さまにずっと愛される家具をつくることに誇りを感じています。

あらゆるオーダーに、一つひとつ応えていく。

いろんな家具をつくられていますが、キッチンもつくられるそうですね?

ええ。これは、以前栗の木のダイニングテーブルを購入いただいたお客さまが、10 年ぶりに来店したのがきっかけです。リフォームをしたいんだけど、あのテーブルに合うキッチンがなかなか見つからないと。聞けば、これまでリフォーム業者からは白や黄色、赤のキッチンの中から選んでくれと言われたそうで。いや、栗の木の色に合うやつが欲しいんですと重ねたら、その業者は、じゃあ黄色ですかね、と決め込んできたとか。栗の色にですよ。合うはずがないじゃないですか。それで、キッチンをつくるのは初めてでしたが、なんとか力になれないものか職人たちと研究を重ねて、栗の木でキッチンを完成させました。

そんな経験からか、今ではいろんなものをオーダー製作しているんですね。

そうですね、サイズにしろ、材質にしろ、形にしろ、既製でぴったりハマるものは少ないですから。そうしてオーダー製作にいろいろ応えているうちに藏持さんとも知り合うようになり、そこからお付き合いが始まりました。これまで藏持さんのモデルハウスや多くのお施主さま宅の家具オーダーに応えてきました。お施主さまの中には、ダイニングテーブルやソファ、テレビボード、ベッドと丸ごとオーダーされた方もいらっしゃいました。

家族とともに時を重ねていくもの。

フルオーダーの家づくりをする藏持だから、家具もオーダーでつくる本物志向の頑固おやじが適任だったんですね。

フルオーダーで新しい住まいをつくるのに、家具だけ現状のものを持ってきたら合わないですよね。せっかくこだわってつくる理想の空間が台無しになってしまう。だから、家具までオーダーする方がいらっしゃるのだと思います。それに、無垢でフルオーダーの家具をいくつもつくると結構な額になりますが、家づくりの設えの一部として住宅ローンに含めることができれば、理想の家具にも手が届くようになります。

家と家具、藏持と頑固おやじはパートナーなんですね。だから縁プロジェクトに参加されたのでしょうか?

そうですね。建築も家具もそうですが、暮らしの文化というのを大切にしたいと考えていましたから、藏持さんとは一致していました。家具職人の技もそうですし、それを活かしつくられた家具が世代を超えて愛されていく。本物でなければ、家族とともに時を重ねていくことはできません。愛される家具、愛される家、愛される暮らし。藏持さんと一緒に、住まいの文化を高める取り組みを、一つひとつ丁寧に続けていきたいですね。

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