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縁プロジェクト_vol.03

ヨーロッパを知ってなお思う。
大切な日本文化を未来に繋げたい。
高橋 克典
テラノス株式会社
代表取締役社長
高橋 克典氏
PROFILE

ハナエモリをはじめ様々な企業のマーケティングを担当後、コンサルティング会社を起業。株式会社シャルル ジョルダン、株式会社カッシーナ・イクスシー、ヴェーエムエフジャパンコンシューマーグッズ株式会社の代表取締役社長を歴任。現在は、バックボーンがしっかりしイノベーションのある企業や、日本の文化を高める活動をしている人とのコラボレーションを企画している。

ハナエモリを経てシャルル ジョルダン(フランス)、カッシーナ・イクスシー(イタリア)、ヴェーエムエフ(ドイツ)など、世界の一流ブランドで経営に関わってきたマーケティングコンサルタントの高橋克典さん。
ヨーロッパで培ったものづくり哲学と、あらためて感じる日本文化の魅力についてうかがった。

フランス、イタリア、ドイツ――それぞれの強みを知る。

高橋さんは、フランスのファッション、イタリアのインテリア、ドイツの調理器具と、幾つもの国で一流メーカーの社長を歴任されていらっしゃいます。国によってものづくりの特質は違うものでしょうか?

それぞれの国で強みが違いますね。
フランスはブランディングに長けています。それはパリという世界一美しい都市をステージあるいはショーウインドウに見立て、いち早くファッションをグローバルビジネスにしたことが貢献しています。
イタリアは今でも家内制手工業の中小企業が多いので、規模の拡大ではなく、デザインで勝負しました。セクシーなデザインプロダクトをつくらせたら世界一です。少量を高く売ることにかけては、誰も敵わないでしょう。
ドイツは日本と同様、後発の工業国だったので、イギリスやフランスで開発された技術をより統制的な方法で発達させることができました。その根底には、彼らが勤勉で秩序を重んじるプロテスタントだったことと深く関係しています。
いずれの国についても、私はよいご縁に恵まれ “衣食住”すべてに関われたことは、幸運でした。

企業のヴィジョン、哲学がものづくりの価値を高める。

フランスが長けているというブランディング。日本でもその重要性が叫ばれて久しいのですが、高橋さんが考えるブランディングとはどのようなものでしょうか?

ブランドは、実は目に見えるものではなく、一人一人の頭の中にイメージとしてでき上がるものです。もちろん企業のロゴやデザインは大切ですが、企業が持ち続けている、ヴィジョンや哲学など、実際にお客さまの目には見えないものの方が大切だと思います。ここにしっかりと一本背骨が通っていれば、おのずとブランドはお客さまに良いイメージとして定着していきます。時間はかかっても、盤石なブランドになります。これがブランディングではないでしょうか。

フランスの文化に影響を及ぼした日本。

ところで、海外で生活すると改めて日本の魅力に気づく、という話をよく聞きます。高橋さんがフランスに住まわれていた頃、そういったことはあったのでしょうか?

もちろんです。1994年から2000年までパリを拠点に仕事をしながら、日本文化がいかにヨーロッパで愛されているか、日々実感していました。日本人はフランスやパリが大好きですが、文化的にはむしろ日本の方がパリに与えた影響が大きいのではないでしょうか。
古くは19世紀中頃から“ジャポニズム”(日本趣味)が大流行し、“アール・ヌーヴォー”がその影響下にあるのはよく知られていますし、その後、“ヌーベルキュイジーヌ”が誕生したのも、日本の懐石料理がお手本です。
今では日本のマンガやアニメがフランス中を席巻しています。お弁当はフランス語で”Le Bento”として著名な辞書にも載っているんです。デリバリーサービスもピザを凌ぐ勢いで拡大しています。最近では一本2万円もする和包丁や鉄瓶は飛ぶように売れていますし、盆栽も大ブームのようです。

日本文化を未来に繋げるために。

高橋さんの日本文化に対する印象をお聞きすると、「縁プロジェクト」に参加される理由も分かる気がします。

私の経歴をご覧になった方は、私が自宅で毎日ワインを飲み、チーズを食べているかのように思われるかもしれませんが、自宅では和食がほとんどです。ですからお酒も日本酒や焼酎ということになります。私は子どもたちにも、幼い頃から日本文化の素養を身につけさせ、礼儀作法を教えてきました。だから、藏持さんがいかに日本文化を大切に考え、それを未来に繋いでいこうと情熱を持っておられるかを知った時は感動しました。それで私も藏持のマネジメントをサポートさせていただくことにしたのです。
これだけ人々のライフスタイルが多様化したのだから、自分の好みにあわせた家を建てたいと願う人が増えるのは当然のこと。そんなわがままに応えてくれるのが「藏持」です。しかも日本人が独自につくり、育んできた数寄屋建築の技法を使ってですよ。
他にはない、この独自の暮らしづくりや縁プロジェクトの輪をもっと広げるお手伝いをしていきたいですね。この国の文化と藏持のバックボーンに共感する人は日本だけではないでしょう。海外にも広がる可能性を想像すると、今から楽しみでなりません。

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